迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~


 カロンが侍女なのに気品が滲み出ていたのは、公爵令嬢だったからのようだ。
「お二人の顔立ちも雰囲気も違っているので、まったく気づきませんでした」
「無理もない。カロンが父親似でヒュドーは母親似だからな。ほとんどの人間は二人が姉弟だと気づかないだろう。特に、カロンの服作りへの並々ならぬ情熱を見た者はな」
「シドリウス様!」

 フィリーネが素直に心の内を吐露すると、微苦笑を浮かべたシドリウスがやって来る。
 今朝も起き抜けに思ったことだが、シドリウスの肌はますます艶めいている。

(ベッドで添い寝するようになってから、すっかり夢塞病を見なくなったみたいなので良かったです)
 シドリウスの様子を見て、フィリーネは安堵した。


 実を言うと、シドリウスが夢塞病に罹っているのをフィリーネは知っていた。
 というのも、紫紺蝶がシドリウスの病について教えてくれたからだ。
 かくして、フィリーネは夢塞病の詳しい症状に加えて特効薬がないことを知った。

 それでも治る方法はないのか紫紺蝶に尋ねたところ、使用人たちのように祈るだけではダメなので毎日一緒に眠るようにと言われた。
 ついでにヒュドーからもらったラベンダーの香油は欠かさずつけるようにとアドバイスされたのでしっかり守っている。

 毎日ラベンダーの香油を塗ってからシドリウスの元に通って添い寝をした結果、シドリウスは夢塞病を見なくて済むようになり、体調も明らかに改善していった。
 肌つやが良くなっているのも睡眠改善の賜物だ。

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