破断直後のEt cetera
十二村部長に『あんたなんてこっちから願い下げ』だと豪語した次の日、私は堂々と仮病で会社を休んだ。
明日が土日でよかった。あんなことを怒鳴って会社を出てきてしまった手前、部長とどう顔を合わせていいか分からない。
来週月曜日にはちゃんと出勤して、総務からもらう退職届に記入してそのまま退職すればいい。
吉香に話を聞いてもらいたかったのに、吉香は当然仕事だし、夜は金曜日とあって同期との飲み会があるらしい。
久しぶりの平日のお休み。ズル休みとはいえ、家に引きこもっていても昨日のことを色々考えてしまうため外に出ることにした。
ようやく真冬の季節になってきた。乾いた風の気温を感じ、マフラーを巻いて家を出る。
思う存分ストレス発散しようとウィンドウショッピングを楽しむ。でもメンズスーツを来たマネキンを見て、つい部長のことを思い出しイライラが募る。
本屋で小説でも買おうかと立ち寄ってみても、高坂さんたちに八つ当たりをしてしまったことが気が気でなくなり、今になって罪悪感が生まれる。
このままじゃせっかくの休みに部長と会社のことを気にしてばかり。誰かに話さないと心の靄が晴れないため、小松さんの息子さんが営んでいる居酒屋に立ち寄ることにした。
小松さんには早めに『ご飯はいらない』旨を連絡して、お母さんには『遅くなります』とラインを送った。
小松さんの息子さん、小松玄也さん39才は、繁華街から裏通りに抜ける小路にある小さな居酒屋を経営していて、吉香とも何度か来たことがある。
カウンター席のある、常連客の多い店だ。
「いらっしゃい!」
「こんばんは、玄也さん!」
「おおびっくり!! 未怜ちゃんじゃないか!」
「お久しぶりです。」
まだ18時を回ったばかりだからか、カウンターはまだ誰もいない。ここぞとばかりに真正面を陣取る。