破断直後のEt cetera


「部長、研究会の会員情報一覧をお持ちしました。」

「ああ。」


 部長室で高坂からホチキス止めされた用紙を受け取り、軽く目を通す。

 デスクの前で突っ立ったままの高坂に、再び視線を移す。


「なんだ? 何か用か?」

「16時からの研究会ですけど、私もご一緒してもいいですか?」

「いいのか? 残業になるぞ?」

「だって今日の研究会、瑞江総合病院の循環器内科の発表でしょう? 当然秘書の志水さんだってついてくるはずですもん。私だって部長について行きますよ!」
 
「はあ。後から『長い』って文句言うなよ?」

「もう。言いませんよ〜!」


 高坂が笑顔で部長室から出て行く。

 俺は深い溜息を吐いて、椅子の背もたれに身体を預ける。

 この秘書課がお飾りだとしても、高坂は仕事できる女だ。秘書課に留まる必要はないと思う。

 だが最近、高坂は何かと俺の出張について来るようになった。

 大路の異動が発表されてからというもの、日帰りの出張について来ては、帰りに飲みに誘ってくる。

 先月までは、楢崎によく絡んでいたと聞いている。楢崎に断られたからなのか、婚約を解消した俺に切り替わったということなのだろうか?

 高坂も暇なら、大路のように、もっと激務の部署に異動した方がいい。


「なんでここにいないんだよ、大路。」


 昼間の大路との会話が、ずっと頭に残っている。

『私、普段コーヒー飲みませんもん! もっぱら梅昆布茶ですから!』

 つい思い出し笑いをしてしまう。慌てて部屋の中を見渡し、姿勢を正して深く座った。




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