限界オタクは推しの幸せを目指したい!!
「お初にお目にかかります。
 水上家長女、水上神酒と申します」



正直言って、『またか』と思った。
この家の上層部は、やけに俺を教育させようとするらしい。……暴力(あれ)を教育と言うべきかはわからないが。

……哀れだな、こいつも。
どうせ、俺が恐ろしくて堪らないんだ。
どうせ、すぐ逃げてしまうんだ。
どうせ、俺を利用しようとしてるんだ。

情が湧けば、別れる時に苦しくなる。
だから、期待なんてしていなかった。

だと言うのに!



「常識的に考えてください、神楽様ですよ??
 全てを許容し全てを愛するべき存在ではないですか」

「貴方様の素晴らしさは
 全世界共通でございますから」

「神楽様〜!!!!」

「ピクニックに行きましょう!」



あいつの視線は、誰よりも暖かかった。
嫌なことも辛いことも、全部許容してくれる気がした。

でも、『どうせ消える』という恐れを持っている俺も少なからずいて、俺はあいつに向き合えていなかった。
……多分。
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