【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズシーモア先行連載中】
 けれど、ゴトフリーはそんなアリスを焦らせることも急かすこともなく、何も言わずにゆっくりと待ってくれた。

 二人で間近で見つめ合って時間が止まったような、永遠を感じたような、そんな不思議な空気の中、やっと震える唇が開いた。

「ゴトフリー……好き……大好きだよ……これからも、一緒に居たい」

 潤んだ目で見上げれば、ゴトフリーはぎゅっと強い力で抱きしめてくれた。

 先ほどは心震えるまでに切実なものを感じさせた不安は、少しでも和らいだだろうか。

(良かった。ちゃんと、伝えられた……)

 自分の気持ちを伝えられて、安心感から身体から力が抜けてしまったアリスに彼は言った。

「アリス。大事にする。今日は、本当にごめんね……俺。今夜はアリスを抱っこして寝るだけで我慢する……我慢出来ると思うから……今度の休みの前の日は、思い出に残るような日にしよう?」

 どこまでもアリスを大事にしてくれる、そんなゴトフリーだからこそ、アリスはもっともっと好きになるのに、彼に自覚はないのだろうか。

(不安に思う余地なんて、どこにあるの? 私はこんなにも、好きなのに)

 ゴトフリーを気になり好きになった最初のきっかけは、彼の書く美しい文字や、好みど真ん中を撃ち抜いた可愛い外見かもしれない。

 けれど、言葉を重ねて中身を知るごとに、好きな気持ちは加速していって、大きくなり続けていく思いが、どこまで行ってしまうのか。

 アリス自身にも、もうそれはわからなかった。

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