【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズシーモア先行連載中】
 これまで欲しかったけれど、価格が高くてなかなか手が出なかったアリスは、石鹸に刻印されている店名を見ただけで興奮してしまった。

 ゴトフリーが洗い桶で石鹸を泡立てているのを見ながら言った。

「あ。すごい……石鹸欲しかったやつなんだ。ほんとに良い匂いするね」

 二人が住むヴェリエフェンディでは自生しないから、とても珍しい薔薇のような香りがする。

「……アリスは本当に可愛いな。この子が俺の恋人なの? 神様に感謝する」

 彼の言葉に吹き出したアリスに手招きして、ゴトフリーは器用にいっぱい作った泡を彼女へと塗りつけた。

 くすぐったさにくすくすと笑って震わせている体を、ぎゅっと抱きしめた。

「柔らかくて、気持ち良い……アリス、この石鹸欲しいの? いっぱい買ってあげる。明日買いに行く?」

「ふふ。一個で良いよ。ゴトフリー。それに、この石鹸高いんだよ。いっぱいとか言ってたら、破産しちゃうから」

 彼女の言葉を聞いて、ゴトフリーは変な表情になった。白い泡のついた指で、アリスの鼻の頭を押した。

「俺。竜騎士なんだけど。知ってた?」

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