【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズシーモア先行連載中】
「ほんと? 嬉しいな。リリアから舞踏会の話は何度か聞いてたんだけど、今年は私も出られるんだね。すごく楽しみ」

「……そうだよ。これからは毎年俺と一緒に出よう。実は明日、ドレスの採寸の予約してるんだ。結構時間がかかるみたいだから、もう今日は寝ようか」

 うん、と笑って頷いたアリスをもう一度ぎゅっと抱きしめると、ゴトフリーは耳元で囁いた。

「好きだよ。アリス。君がいないともう生きていけない」

「ふ、大袈裟だよ。ゴトフリー、どうしたの?」

「大袈裟じゃないよ。こんなに誰かを好きになったのは、初めてだから、すごく怖いんだ」

 そう言って彼は胸に抱き寄せたから、その切実な響きの声を出した表情は見えない。あったかくて何よりもどこよりも安心させてくれるその場所で、いくら考えてもゴトフリーが何を怖がっているのかは、一度も実った恋を失ったことのないアリスにはわからなかった。自分はきっとずっと今抱きしめてくれている彼のことを好きだし、この気持ちが消えてしまうことなんて想像も出来ない。

 自分から見るとこんなに完璧な人なのに、どうして自信を持てなくなってしまっているのだろうか。どうしたらすこしでも彼を安心させてあげられるだろうか。言葉だけではきっと足りない。態度に表しているつもりだけど、まだまだなのかもしれない。

 時間をかけてでも、この彼への想いをまっすぐに伝えたかった。



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