【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズシーモア先行連載中】
 その名前を見ただけでときめく気持ちのことは、もう無視しないことにした。そう、アリスはあの飲み屋で五人の竜騎士と会うもっともっと前からゴトフリーのことを知っていて、時折書類を持って来てくれる彼の笑顔に癒されていた。

 でも、彼は竜騎士の肩書を持ちあの整った容姿だ。自分など相手にされることはないと最初から諦めていたのだ。


 最初に彼を意識し出したその時を、アリスははっきりと今でも覚えていた。

 偏見なのかもしれないし、もちろん例外が居ることは知っているが、主に肉体労働を仕事とする騎士の文字は読みづらくとりあえず必要なことを書けば良いという、自分勝手な性格が透けて見えるような書類が多かった。

(なんなのよ、こっちは古代文字の解読担当じゃないのよ。せめて誰かが読める字で書きなさいよ)

 虫が這ったような文字と添付されている領収書や請求書を照らし合わせて、アリスはなんとか仕事を進めていた。個人の遠征費用などを精算する際は個人の口座に入金するだけで済むが、商会などにいわゆるツケで購入しているものなどは小切手などを手配して支払わなければならない。

< 41 / 262 >

この作品をシェア

pagetop