ハロー
「あの、これ……!」

言葉が出てこない。未来の顔が真っ赤に染まる。声や体が震える。芽衣は不思議そうな顔で未来の手の中のサンキューカードを受け取った。

「これは?」

「あっ、その、サンキューカード……」

芽衣の質問に対し、未来は上擦った声で答える。サンキューカードが何か説明できていない。芽衣は便箋を開けた。そして、中に書かれていた未来からの精一杯の「ありがとう」に芽衣はフッと笑う。

「別に、お礼を言われるほど大したことしてないんだけど」

「そ、そんなことないよ!私、いつも、楠木さんに助けられてて!ずっと、お礼、言い、たくて……!」

必死に未来は否定する。クラスメートとほとんど話さないせいか、言葉が嫌になるほど辿々しい。また泣きそうになる未来を前に、芽衣は笑った。

「じゃあ今度はさ、ちゃんと口でも言ってよ。あたしも言うからさ。サンキューカードくれてありがと」

未来の頰を涙が伝う。それは、生まれて初めて言われた「ありがとう」だった。

「えっ?ちょっと!何で泣いてるの!?」

「う、嬉しくて……」

涙を夕焼けが照らす。その涙は、まるで宝石のように美しかった。
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