追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「そう、怯えるな。俺に任せてくれ。君に酷いことはしない」
「神に誓って……?」

 普段の夫であれば、「神など信じるに値しない」とぶっきらぼうに吐き捨てていただろう。
 しかし、今日はそんな余裕もないらしい。

「ああ。それでラシリネが安心するのなら。喜んで、誓おうじゃないか」
「ダリウス様……」

 不敵な笑みを浮かべた皇帝が、はっきりと神に誓いを立てると宣言したのだ。
 彼の言葉を、疑う余地もない。

(きっと、大丈夫だわ……)

 ラシリネは唇を噛みしめることで不安を押し殺すと、金色の瞳を潤ませながら夫の首筋に両腕を回す。
 その後、「彼のすべてを受け入れる」と言わんばかりに、ダリウスの身体を引き寄せたのだった――。
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