追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「ダリウス、様……?」
「この日を、どれほど待ち望んでいたことか……」

 小さな身体に覆い被さる彼は、戸惑う自分を安心させるためだろう。
 額から始まり、首筋から肩越しに至るまで、さまざまな場所に唇を触れ合わせる。

「く、くすぐったいです……!」

 ただならぬ雰囲気を感じて、少しでもその空気を霧散させるべく身を捩る。
 しかし、夫はまったく動じない。

(なんだかダリウス様が、知らない男の人に見えるわ……)

 白髪を一房取って口づけた紫色の瞳には、普段であれば絶対に宿るはずのない欲望の感情が浮かんでいる。

(これが陛下の……私に隠していた、秘密……?)

 恐ろしいはずなのに、なぜか目が離せない。
 まるで魔獣に睨みつけられた小動物のように身体を硬直させていると、こちらの反応を見かねた彼が耳元で囁いた。
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