追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「離れ離れになっても、ダリウス様のことを忘れられなかった……」

 自国はダリウスにとって敵でしかない。
 帝国に聖女がいない以上、自国の武力が伴えば攻め落とされる危険性だってあった。

『大好きな人が、私のせいで死ぬかもしれない……! そんなの、耐えられないわ!』

 幼いラシリネには、聖女として人々を無償の愛で包み込む覚悟が足りなかったのだ。
 見ず知らずの民よりも愛する人を優先した結果、無数の穴が開いた結界しか生み出せなかった。

(自国では、聖女としての役目をほとんど果たせなかった……)

 だが、今は違う。
 この帝国には、最愛の人がいる。
 心優しい彼はここで暮らす民達が傷つけば、きっと悲しむだろう。

「2度も同じ失敗は、繰り返しません。他国に自慢できるような、立派な聖女になってみせます!」
「わかっているのか!? 聖女になれば、君は……っ!」
「問題ありません。想い人が私を好きになることは、きっとないので……」
「な……っ!」

 陛下は紫色の瞳を大きく見開き、絶句した。
 一体、何を驚く必要があるのだろうか。
 ラシリネは、不思議で仕方がない。
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