追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「君の決めたことに、俺が口出しする権利はない。そうやって無理やり己を納得させた結果、ラシリネはアデラプス王国で汚名を着せられた……!」
「陛下のせいでは、ありません」
「違う。俺が無理やりにでも、この魔具を嵌めればよかったんだ。そうすれば、君は傷つく必要などなかった」
「この帝国に結界を張れるのは、聖女だけです。自分が傷つきたくないからと、人々が苦しむ姿から目を背けるなんてできません」
「どうして君はいつも、自分よりも他者を優先するんだ……!?」

 陛下の言う通りだ。
 本来であれば聖女は、己の意思よりも他者を優先しなければならない。
 清らかで、美しく、慈愛に満ちた女性の総称だった。

 なのに――。

 ラシリネが国の防壁の担う人間としてあるまじき思いをいだいてしまったせいで、ハズレ聖女と呼ばれるようになった。

(誰が一番悪いのか……。今なら、断言できるわ……)

 ラシリネは己の罪を懺悔するように、静かに語り出す。

「私は今まで、自分本位に生きてきました」

 ずっと、後悔していた。
 大好きな人と離れ離れになり、彼のいない国を守護しなければならない状況を。
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