追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「ええ。わたくしもよ。もしよろしければ、お茶でもどうかしら?」
「ぜひ!」
「わふ!」

 こうして2人と1匹は談話室へ移動し、対面の席に腰を下ろした。

(こうして椅子に座っているだけでも絵になるなんて……。羨ましいわ……)

 ラシリネはこの世のものとは思えぬ彼女の儚げな容姿に見惚れ、うっとりと金色の瞳を潤ませる。

(私も、彼女のようになれたらよかったのに……)

 自分には聖なる力を持って生まれたことくらいしか、取り柄がない。
 皇太后のように目麗しい姿をしていれば、もっと自信を持って彼の隣に並び立てていたのだろうか?

(ないものねだりは、よくないわね……)

 こんなふうに己の力不足を憂いているから、ダリウスに嫌われてしまったのだ。
 彼と今まで通りの関係に戻りたいと願うのであれば、試行錯誤を繰り返し、ひたすら努力を重ねるしかない。

「息子とは問題が起きた日から、ずっと腹を割って話せていないの?」
「一緒の空間にいることすら、できなくて……。私の力不足です。申し訳ございません」
「そう。思っていた以上に、関係は悪化しているようね……」

 彼女は悲しそうに目を伏せると、小さく頭を下げた。
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