追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「わふん……」

 こちらをじっと見つめるスノーエルから「あんたは一体何をやってんだ」と疑いの眼差しを向けられるのが、余計にいたたまれなかった。

(やはり俺は、間違っているのだろうか……)

 ラシリネに好かれるためなら、どんなことでもする。
 そう決心して始めたが、数日もしない間につらくなってしまった。

(抱きしめたい……。それが無理なら、触れ合うだけでも……。いや、駄目だ。いつも通りの、明るい彼女の声を……)

 自分から始めた以上、「すまなかった」と頭を下げて今まで通りの関係に戻るのは、どうしてもプライドが許さない。
 そんなことをしたところで、自分を好きになってくれるわけでもなければ、「聖女になりたい」と宣言をした彼女の考えを変化させられないと、心のどこかで理解しているのが大きいのだろう。

(本音を隠し、ラシリネの意思を尊重するべきだったのか……?)

 己の進むべき道を見失った時は、父親に相談するのが一番だ。
 ダリウスは王立騎士団の指導を熱心に行う彼と合流し、悩み事を口にする。
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