第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
「違うよ、テオ」
視線を逸らさず、静かにはっきりと告げる。
「あなたには、陽の光が当たる穏やかな場所で、笑っていてほしい」
胸の奥から溢れる想いを、言葉にする。
「誰かを傷つけたり、自分を削ったりしなくていい。
そんな生き方をしなくても……あなたの価値は、何一つ変わらない」
「……でも、それじゃ俺、お嬢様といられない」
「たとえ、私が結婚してこの家を出ることになったとしてもね」
一度、言葉を区切る。
「あなたを連れていく努力をするよ。
私も心細いから、信頼できる人がそばにいてくれたら嬉しい」
少しだけ、微笑んで続けた。
「でも……それが叶わないことも、きっとある。
立場の問題もあるし、嫁ぐとなれば難しいかもしれない」
それでも――という想いを込める。
「だからこそ、テオ自身の居場所を、ちゃんと持ってほしいんだよ」
そっと彼の頬から手を離す。
それでも、重なったままの彼の手は、まだ微かに震えていた。
今度は、その手を導くように――
彼の胸に、そっと触れる。
「テオ……」
鼓動が、はっきりと伝わってくる。
「あなたが私を大切に思ってくれているように、
私も、あなたが大切よ」
指先に伝わる温もりが、確かだった。
「だから、笑っていてほしい。
あなたを想ってくれている人たちの気持ちも、見逃さずに受け取って……幸せになってほしいの」
ゆっくり、噛みしめるように言う。
「たとえ、そばにいられない時があっても――
私の想いは、ちゃんとあなたのここにある」
胸に当てた手に、少しだけ力を込める。
「そして私も、あなたの想いを受け取って持っていく。
だから……この先も、私と一緒に生きてくれる?」
……これで、伝わっただろうか。
さすがに、ベッドに押し倒されたままというのは落ち着かないけれど。
「……ずるいよ、お嬢様」
そう言ったテオの声は、もう震えていなかった。
気づけば、私の手を押さえていた力も、少し緩んでいる。
「あの、テオ。そろそろ――」
言い終える前に、額に触れる、あたたかな感触。
一瞬、思考が止まった。
「……大好きだよ、お嬢さま。
これから先も、よろしくね」
照れたように、けれど穏やかに微笑むテオ。
その表情を見て、胸の奥が、静かに――確かに、温かく鳴った。
視線を逸らさず、静かにはっきりと告げる。
「あなたには、陽の光が当たる穏やかな場所で、笑っていてほしい」
胸の奥から溢れる想いを、言葉にする。
「誰かを傷つけたり、自分を削ったりしなくていい。
そんな生き方をしなくても……あなたの価値は、何一つ変わらない」
「……でも、それじゃ俺、お嬢様といられない」
「たとえ、私が結婚してこの家を出ることになったとしてもね」
一度、言葉を区切る。
「あなたを連れていく努力をするよ。
私も心細いから、信頼できる人がそばにいてくれたら嬉しい」
少しだけ、微笑んで続けた。
「でも……それが叶わないことも、きっとある。
立場の問題もあるし、嫁ぐとなれば難しいかもしれない」
それでも――という想いを込める。
「だからこそ、テオ自身の居場所を、ちゃんと持ってほしいんだよ」
そっと彼の頬から手を離す。
それでも、重なったままの彼の手は、まだ微かに震えていた。
今度は、その手を導くように――
彼の胸に、そっと触れる。
「テオ……」
鼓動が、はっきりと伝わってくる。
「あなたが私を大切に思ってくれているように、
私も、あなたが大切よ」
指先に伝わる温もりが、確かだった。
「だから、笑っていてほしい。
あなたを想ってくれている人たちの気持ちも、見逃さずに受け取って……幸せになってほしいの」
ゆっくり、噛みしめるように言う。
「たとえ、そばにいられない時があっても――
私の想いは、ちゃんとあなたのここにある」
胸に当てた手に、少しだけ力を込める。
「そして私も、あなたの想いを受け取って持っていく。
だから……この先も、私と一緒に生きてくれる?」
……これで、伝わっただろうか。
さすがに、ベッドに押し倒されたままというのは落ち着かないけれど。
「……ずるいよ、お嬢様」
そう言ったテオの声は、もう震えていなかった。
気づけば、私の手を押さえていた力も、少し緩んでいる。
「あの、テオ。そろそろ――」
言い終える前に、額に触れる、あたたかな感触。
一瞬、思考が止まった。
「……大好きだよ、お嬢さま。
これから先も、よろしくね」
照れたように、けれど穏やかに微笑むテオ。
その表情を見て、胸の奥が、静かに――確かに、温かく鳴った。