第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
真夜中の真実
ユウリside
お嬢様の記憶に出てきた女性のことを探し続けている。
だが――どこにも、ない。
お嬢様の記憶では、その女性はきっともう亡くなっているはず…。
過去の使用人、歴代の祖先の死因が一括して保管されている書庫にも、その名だけが抜け落ちている。
記録が存在しないなど、あり得ない。
おかしい。
いや、おかしいでは済まされない。
隠されている。
そう考えるほか、なかった。
当主アドルフ様。
彼以外に、この屋敷でそれを可能にする人物はいない。
だとすれば、保管場所は一つ。
アドルフ様の執務室だ。
今夜、アドルフ様は3代伯爵家との歓談会に出席している。酒も相当入っているはずだ。
昔から、酒に酔ったアドルフ様は深く眠り、簡単には目を覚まさない。
――条件は整っている。
だが、問題は一人。
執事、スミスさん。
有能で、観察眼が鋭い。巡回の癖も、足音の癖も、すべてが掴みきれない。
彼に見つかった瞬間、この計画は終わる。
その情報は即座にアドルフ様へ届き、弁解の余地はない。
喉が、ひくりと鳴った。
それでも、引き下がることはできない。
真実は、今夜しか掴めない。
頭の中で、動線、時間、最悪の事態を何度も反芻する。
一つでも狂えば終わりだ。
そして――
屋敷が完全に寝静まった、その時を待つ。
今夜、決行する。
アドルフ様が寝室に入ったことは、すでに確認している。
スミスさんも、自室へ戻っていった。
――今のところ、想定どおりだ。
お嬢様の記憶に出てきた女性のことを探し続けている。
だが――どこにも、ない。
お嬢様の記憶では、その女性はきっともう亡くなっているはず…。
過去の使用人、歴代の祖先の死因が一括して保管されている書庫にも、その名だけが抜け落ちている。
記録が存在しないなど、あり得ない。
おかしい。
いや、おかしいでは済まされない。
隠されている。
そう考えるほか、なかった。
当主アドルフ様。
彼以外に、この屋敷でそれを可能にする人物はいない。
だとすれば、保管場所は一つ。
アドルフ様の執務室だ。
今夜、アドルフ様は3代伯爵家との歓談会に出席している。酒も相当入っているはずだ。
昔から、酒に酔ったアドルフ様は深く眠り、簡単には目を覚まさない。
――条件は整っている。
だが、問題は一人。
執事、スミスさん。
有能で、観察眼が鋭い。巡回の癖も、足音の癖も、すべてが掴みきれない。
彼に見つかった瞬間、この計画は終わる。
その情報は即座にアドルフ様へ届き、弁解の余地はない。
喉が、ひくりと鳴った。
それでも、引き下がることはできない。
真実は、今夜しか掴めない。
頭の中で、動線、時間、最悪の事態を何度も反芻する。
一つでも狂えば終わりだ。
そして――
屋敷が完全に寝静まった、その時を待つ。
今夜、決行する。
アドルフ様が寝室に入ったことは、すでに確認している。
スミスさんも、自室へ戻っていった。
――今のところ、想定どおりだ。