第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
クラリス夫人の誕生日パーティーでは、わざわざ私の後を追いかけてきてくれたことに、思わず感動してしまった。
ゲストルームに入ったあと、こっそりベランダの鍵を開けておくと、案の定、そこからやってきてくれた。
私が毒殺されそうと心配して止めようとしてくれたのは嬉しかったな。
ただ揉め事に巻き込んでしまったことは申し訳なかったが。


何よりも、首を傾げて潤んだ瞳でこちらを見つめられた瞬間には、抱きしめたい気持ちが抑えきれなかった。しかし、耐えた自分を少しだけ褒めてやりたいと思う。

他の令嬢からよく擦り寄られたことはあったが、正直、1ミリもときめいたことはなかった。けれど、興味のある令嬢からされると、心の反応はまったく違うものだ。

「可愛かったな……」
ぼそっと口に出てしまった。

「何か言いましたか、殿下?」

「いや、なんでもないよ」

涼しげな顔をし返事をする。
馬車を近くに止めてもらい、孤児院の前までやって来る。

「これは……」
「大盛況だね」

様子を見ていると、整理券を見せてから食事を受け取っている。上手くやっているようだ。
賑わってはいるが混乱はなく、すべてがスムーズに運営されている。
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