ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。

 二度ほど触れたところで、彼女が「ん……?」と気づいたような小さな声を漏らす。

 そして三度目。

「……祥ちゃん?」

 微睡みの中から名前を呼ばれた。

「……ん?」

 短く返して、気にせず四度目、五度目と角度を変えて重ねていく。

 だんだん目が覚めてきたのか、僕に応えながらふふっと笑った彼女があまりにも可愛くて。
 同時に「自分だけのものにしたい」という独占欲が顔を出し、キスはどんどん深く、熱を帯びていく。
 自然と、彼女を抱き寄せる手も伸びてしまう。

「しょ、祥ちゃん……? 朝だよ……?」

 恥ずかしそうに戸惑う美絵に、少しワガママな本音をこぼした。

「……でも。美絵、昨日寝ちゃったから」

「…………」

 その言葉に、彼女は顔を真っ赤にして黙り込む。
 そしてそのまま、僕の甘えを優しく受け入れてくれた。
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