ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。
サラサラになった短い髪を撫でると、彼女は目を閉じたままふにゃっと微笑む。
まだ半分夢の中にいるようだ。
髪が短くなった寝顔から、ほんの少し中学時代の面影を感じて、胸の奥で音が鳴る。
たしかに彼女の言う通り、あの頃はずっと顎くらいのボブだったけれど、伸びたときはちょうどこの長さだった気がする。
教室から廊下を眺めていたら、友達と喋りながら歩く彼女が通って、笑い声とともに揺れていた髪。
そんな姿に、いつも見惚れていたっけ。
中学時代の記憶を辿っていると、連鎖するように、昨晩話した元彼のことが頭を過ぎる。
「何もなく終わった」と、美絵は必死に言っていたけれど……。
……いや、でも手は繋いでたよな。
思い出すと、モヤモヤとした感情が、またじわじわと湧き上がってくる。
昨日、勢いに任せて「自分も嫉妬する」とぶっちゃけてしまった。
引かれては、いなかったよな……? 抱きついてきてくれたし。
実はあのとき、「祥ちゃんだけが大好き」と言ってくれた彼女の想いが嬉しくて、キスをしたくなり、そっと顔を持ち上げようとした。
けれどまったく反応がなく、覗いてみるとものすごいスピードで寝落ちしていて。
拍子抜けしたまま、僕も後を追うように眠りについたのだった。
その続きがしたくなって――また夢の続きに戻っているであろう彼女の唇に、そっと自分の唇を重ねた。