ふたつの弧が、重なるとき ~元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく~【完結】

第77話

 祥ちゃんに会う約束の日の朝。
 手持ちの服の中で一番誠実そうに見えて、気持ちがシャキッとする、きちんとしたワンピースを着て家を出た。

 五月に入り、日中は暑いと感じる日も増えてきたけれど、朝はまだ爽やかで心地よい空気に満ちている。

(ようやく会える……)

 今の気持ちをしっかり伝えようと、心の中で何度も言葉を反芻していた。

 私が勝手に不安になってしまったのは、自分の将来が見えていない焦りがあったことや、祥ちゃんのことが大好きすぎて臆病になっていたせいだ。
 祥ちゃんは、何ひとつ悪くない。
 気持ちを伝えることが怖かったけど、これからは逃げずにきちんと言葉にする。

 会えない日々が、こんなにも辛かった。
 だから、もう二度と距離を置いたりしたくない。

 そして――ずっと、ずっと一緒にいたいということ。
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