ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。
 ◇

 ゴールデンウィークに入った。

 一人で福島行きの新幹線に乗り込み、移りゆく景色を眺めていたら、ポケットの中のスマホが震えた。

『学校で待ち合わせでいい?』

 祥ちゃんからのメッセージだ。

『うん、いいよ』

 すぐにそう返した。

 中学校は、私の実家からは少し距離があり、卒業してから足を運ぶのは、実はこれが初めて。
 変わっていないだろうか。

 祥ちゃんと出会ったあの場所で、彼に会う。
 しかも、顔を合わせるのは一週間ぶりだ。

 色んな感情が混ざり合い、胸が高鳴っていく。

 ◇

 地元の駅に着き、学校行きのバスに揺られること二十分。
 窓の向こうに、記憶の通りの校庭が見えてきた。

「わっ。懐かしい……」

 思わず、小さな声を上げる。

 バスを降りると、東京より冷たくて青い風が、ふっと足元を通り抜けた気がした。


 正門に立っている姿を見つけた。
 自分の居場所に帰ってきたような、深い安心感に包まれる。

「……祥ちゃん!」

 声をかけると、彼は少し照れたような顔で、小さく手を上げた。

 付き合ってから一番短いかもと思うくらい、さっぱり整えられた髪。
 とても似合っていて、すでに「先生」らしく見える大人びた姿が、たまらなくカッコいい。

 スーツではないけれど、オフホワイトのシャツにネイビーのスラックスという、普段よりもずっときちんとした格好をしている。
 電話で『一応、来週からお世話になるし、知ってる先生に会うかもしれないから』と言っていた通りだ。
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