アースシールド♾️

十二凶の企み

 寮と病院を繋ぐ一本道。
 寮の方向に十二凶の《子》と考えられるヤツと、不気味だと思っていた二次試験の試験官。
 病院側の私と永久さんと対峙する。

「お前、何をしている。鈴森村をやったのはお前だろ。なぜ宇宙人とつるんでいる」

 スーツを起動し、すぐに戦闘体制になる。
 永久さんも戦闘モードだ。

「はっはっは! さすが正義感が強いなあ。天城糸。噂通りやわ」

「子(ねずみ)、相手にするな。こいつらは俺らの足元にも及ばん。さっさと片付ける」

「緑頭。お前は組織の人間ではないのか。なぜそいつといる」

 《子》の隣のやつに敵意を向けると、そいつが、フッと鼻で笑った。
 
「それが何も忘れないと言う、噂の記憶力か。天城糸」

「私の質問に答えろ」

「糸はん、すんませんなあ。今日は、あんたらの相手してる暇はないねん。ワイらには、第二次宇宙戦争の準備があるからな」

 ……第二次宇宙戦争だと?
 こいつら、何を企んでいる。
 この地球にそんな危険が迫っているのか。
 だとしたら、私たちでは手に負えないレベルの話だ。
 早く神先生に報告しなければ。

「お前ら、十二凶なのか」

 永久さんの問いに「ワイら、そんな有名人なんやなあ」と《子》が笑った。

「お前たちのような雑魚には関係ないことだ。俺らはこの計画を実行に移したのだ。1日でも早く、アースシールド♾️の最強と言われた、神を倒さなければいけない」

「《巳(へび)》、神が来る時間に間に合わんくなるで」

 今、神と言ったか?
 それに計画を実行に移したって……どういうことだ。

「おい! 神って、まさか神先生のことを狙って……」

 永久さんがそう言いかけたと同時に、《巳》と呼ばれた緑頭が唱える。

「そうだな。さあさあ、出てきたまえ、S、二体。……召喚」

 「召喚」の声の後に、地面から人型の宇宙人がにゅるると現れた。
 予想はしていたが、やはり宇宙人を操っているのか。

「Sランクやで。あんたらに倒せるんかなあ。見ものやな」

 宇宙人は、人型をすればするほど強く、SS、S、A、Bの順で弱くなっていく。
 前回の任務で《子》が操っていたのは、Bランクだっただろう。
 あのときだって、手こずりながら永久さんと倒したのだ。
 Sが二体なんて……。
 今の私と永久さんでは、太刀打ちできるわけがない。

「ヒーッヒッヒッ! 男! 女! 殺す!」

「食べていいか? 食べるか!」

 Sランクの宇宙人二体が拙い言葉を吐く。
 言葉を話せるのか。

ーービー! ビー! ビー!

 警報器が鳴る。
 ここはアースシールド♾️の基地内だ。
 宇宙人を感知すると、警報器が鳴り、その場所に隊員が派遣されることになっている。

「やれ。《子》いくぞ」

「ほな、糸はん。またな〜」

 巳と子はニヤッと笑い、道から外れ、木々の中へと去っていく。
 ヤツらのことを捕まえておかなければ、計画とやらについて聞き出すことができない。
 でも、目の前には、Sランクの宇宙人が二体。

「……チッ」

 隣で永久さんが悔しそうな顔をしていた。
 十二凶が目と鼻の先にいるというのに……!
 逃すしか方法はないのか!?

ーーヒュインヒュイン!

 宇宙人が光の玉のような攻撃を放つ。

ーードカン、ドカン!
 
 永久さんとふたりで交わす。
 地面に砂埃がたった。
 《子》と《巳》のことは、諦めるしかない。
 今は、とにかくこの二体だ。
 私たちが何分もつか……。
 別の隊員がここに辿り着く時間まで耐えなくてはならない。
 第二次宇宙戦争なんて……。
 早く組織に伝えなければ。

「龍!」

ーーゴオオオオオ。

 私の声と同時に、空がうねる。
 灰色の雲がもくもくと大きくなり、その中から龍が顔を出した。

「実戦で呼び出されたのは初めてだな。……ほう、Sランクか。糸、今のお前じゃ厳しいな」

「ヤツをどうにかしなければならない。力を貸して欲しい」

「相わかった」

「カラス!」

 続いて、永久さんの白カラスたちがバタバタと宇宙人に向かっていったーー。

°。°。☆°。°。☆°。°。°。°。☆°。°。☆°。°。

 黒い影が崩れ、地面に沈む。

(戦闘終了、経過時間4.1秒、被弾:小)

「はあはあはあ……」

 息を整えようとしても落ち着かない。
 心臓がバクバクとうるさい。
 一体は倒すことができたが……龍は私のエネルギー切れで消えてしまった。

「糸……無理をするな」

 振り向くと、永久さんがすぐそばにいた。
 思ったより、近くて赤面する顔を隠す。

「最適解でした」

「最適解じゃない。俺をかばっただろ」

 その言葉に、一瞬だけ思考が止まる。

「……結果的に、そうなっただけです」

 視線を逸らすと、永久さんは少し困ったようにふぅっと息を吐いた。

「……そういうのが嫌だと言ったわけじゃないだろ」

 胸の奥が、きゅっと縮む。

「……何を言ってるんですか」

「わからないならいい」

 永久さんは一歩下がった。
 それだけで、空気が冷えた気がした。
 さっきより、遠いな。
 おかしい…距離が取れたのに、落ち着かない。
 もう一体いる。
 龍はいないが、何とかしなければ。

「次も私が守りますから」

 永久さんが目を見開いてから、はははと笑った。

「それ、告白みたいだな」

「……?」

 違う。
 はずなのに。
 顔が、また熱を持つ。

(この感情:未登録)

 なんだろう。
 この感情の正体はーー。

「糸! 永久!」

「ふたりとも、大丈夫!?」

 聞き慣れた声に振り向く。
 そこには鶴先生とココちゃんがいた。

「糸、永久、ココ。下がりなさい。あとは先生に任せて」
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