本当の私を知られたら終わる恋だと思っていたのに、彼の溺愛が止まりません

和木坂課長みたいな切れ者でも、そんな経験があるんだ、と驚いた。

「その会社の担当者に散々怒鳴られ税金泥棒と決めつけられて。あれ以来、毎朝その日の予定を何回も確認するようになった。」
「・・・・・・。」
「君のところの課長だって、昔はしょっちゅう上司に怒られてたし。」
「そう・・・なんですね。」

和木坂課長は公園の桜を仰ぎ見たあと、ポケットに手を入れながら、横に座る私に視線を向け、右目を細めて優しく微笑んだ。
「だからさ、誰しもそういった経験があるってこと。」

私はそのエピソードを聞いて、すうっと胸が軽くなった。

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