第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
――がしっ。
「っ!?」
手首を、強く掴まれた。
「……!」
一瞬で視界が反転する。
引き寄せられ、私はソファの縁に体勢を崩した。
すぐ近くに、エメラルドの瞳。
眠そうに細められながらも、はっきり私を捉えている。
「……ティアナ」
低く、掠れた声。
「お、起こすつもりはなくて……!」
言い訳をするより早く、彼の親指が手首をなぞった。
「……逃げない」
確認するような動き。
「もしかして起きてたの?」
「寝ていたが部屋に入ってくる気配でわかった」
「さすがだね」
そのまま、掴んでいた力が少しだけ緩む。
「だが……」
視線が、私の指先へ落ちる。
「触れられると思ったら、目が覚めた」
鼓動が、近すぎて聞こえそうだった。
「邪魔しちゃったかな」
「いや」
ディランは小さく息を吐く。
「とても良い気分だよ」
手首を離す代わりに、今度は指先を絡めてくる。
「君が、来たから」
顔が、熱くなる。
「ベッドじゃなくて、ソファで寝てるなんて珍しいね」
「待っていた」
「……何を?」
「君が、歩けるようになる日を」
その言葉に、胸がきゅっと締まる。
「無理をしたつもりはなかったが……」
彼は私の額に、軽く自分の額を触れさせた。
「3日ぶんの安堵が、一気に来たらしい」
「……ばか」
「否定はしない」
そう言って、かすかに笑う。
「少しだけ……」
掠れた声が、すぐ近くで囁いた。
「ここに、いてくれ」
腕が、そっと腰に回される。
拒む隙もないほど、静かで優しい動き。
「っ!?」
手首を、強く掴まれた。
「……!」
一瞬で視界が反転する。
引き寄せられ、私はソファの縁に体勢を崩した。
すぐ近くに、エメラルドの瞳。
眠そうに細められながらも、はっきり私を捉えている。
「……ティアナ」
低く、掠れた声。
「お、起こすつもりはなくて……!」
言い訳をするより早く、彼の親指が手首をなぞった。
「……逃げない」
確認するような動き。
「もしかして起きてたの?」
「寝ていたが部屋に入ってくる気配でわかった」
「さすがだね」
そのまま、掴んでいた力が少しだけ緩む。
「だが……」
視線が、私の指先へ落ちる。
「触れられると思ったら、目が覚めた」
鼓動が、近すぎて聞こえそうだった。
「邪魔しちゃったかな」
「いや」
ディランは小さく息を吐く。
「とても良い気分だよ」
手首を離す代わりに、今度は指先を絡めてくる。
「君が、来たから」
顔が、熱くなる。
「ベッドじゃなくて、ソファで寝てるなんて珍しいね」
「待っていた」
「……何を?」
「君が、歩けるようになる日を」
その言葉に、胸がきゅっと締まる。
「無理をしたつもりはなかったが……」
彼は私の額に、軽く自分の額を触れさせた。
「3日ぶんの安堵が、一気に来たらしい」
「……ばか」
「否定はしない」
そう言って、かすかに笑う。
「少しだけ……」
掠れた声が、すぐ近くで囁いた。
「ここに、いてくれ」
腕が、そっと腰に回される。
拒む隙もないほど、静かで優しい動き。