第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
その間に円を描くように立ち、ひとりひとりの顔を見渡す。
張りつめた局面のはずなのに、誰もが不思議なほど落ち着いていた。

セナは、言葉もなく優しく微笑み、静かに頷く。
テオはいつものように肩の力を抜いた笑みを浮かべ、軽く手を振った。
ルイは片目を閉じて、いたずらっぽくウィンクする。
レオはニコッと明るく笑い、元気よく大きく手を振った。
ユウリもまた、すべてを包み込むような穏やかな微笑みを向ける。
アリスは短く、けれど確かな意思をこめて頷いた。
レイさんは一歩引き、丁寧にお辞儀をする。
アレンとロベルトは並んで、力強く、迷いのない頷きを返した。

そして――
隣に立つディランを見る。

彼は何も言わず、
優しく、それでいて確かな強さを宿した微笑みを向けていた。

そして私は見据える。
恐怖ではない。

孤独でもない。

暴走する魔力の中心。

光と闇が渦巻くその場所に立つ私の瞳は――
ただ、まっすぐに。

「トワ……」

胸の奥に残る、確かな温もり。

「あなたが繋いだこの世界――」

剣が、淡く輝き始める。

「今度は、私たちが守る」

共鳴が、静かに――
しかし確かに、始まった。
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