第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
スコーンと紅茶が運ばれてくる。
「美味しいですね」
「それはよかったです、お嬢様」
「2人とも、召し上がって」
アリスが手を差し出す。
「お優しいお嬢様。
ありがたく頂戴いたします」
ルイが恭しくお辞儀をし、
私も慌てて続いた。
「い、いただきます」
サクッ。
……うん、美味しい。
バターの香りと紅茶がよく合う。
無心でもしゃもしゃ食べていると――
「おい!!
なんだこれは!!」
怒声が店内に響いた。
「髪の毛が入ってるだろ!!」
酔っ払いの男が、店員さんに詰め寄っている。
だが、どう見てもその毛は――
(いや、それ……本人のだよね?)
色も質も、頭と完全一致している。
「し、しかし、そちらは――」
「なんだぁ?
男爵の俺に文句言うのか!?」
……横暴すぎる。
「うるさいですね」
「そうですね、お嬢様」
ルイが静かに同意する。
すると男爵がこちらを睨みつけた。
「なんだなんだ。
そこの令嬢は黙ってろ!」
アリスは紅茶を一口飲み、
カップをそっと置いてから言った。
「どう見ても、
貴方のちぢれ毛でしょう」
一瞬、
店内の空気が凍る。
男爵の顔が、
みるみるうちに真っ赤になった。
「な、なにを――!」
「色も太さも、
見事に一致していますもの」
追撃が容赦ない。
私は思わずスコーンを口に運びながら、
心の中で拍手した。
(強い……)
ルイはにこやかに微笑み、
「お嬢様の観察眼は、
幼少の頃から確かでして」
さらっと火に油を注ぐ。
「美味しいですね」
「それはよかったです、お嬢様」
「2人とも、召し上がって」
アリスが手を差し出す。
「お優しいお嬢様。
ありがたく頂戴いたします」
ルイが恭しくお辞儀をし、
私も慌てて続いた。
「い、いただきます」
サクッ。
……うん、美味しい。
バターの香りと紅茶がよく合う。
無心でもしゃもしゃ食べていると――
「おい!!
なんだこれは!!」
怒声が店内に響いた。
「髪の毛が入ってるだろ!!」
酔っ払いの男が、店員さんに詰め寄っている。
だが、どう見てもその毛は――
(いや、それ……本人のだよね?)
色も質も、頭と完全一致している。
「し、しかし、そちらは――」
「なんだぁ?
男爵の俺に文句言うのか!?」
……横暴すぎる。
「うるさいですね」
「そうですね、お嬢様」
ルイが静かに同意する。
すると男爵がこちらを睨みつけた。
「なんだなんだ。
そこの令嬢は黙ってろ!」
アリスは紅茶を一口飲み、
カップをそっと置いてから言った。
「どう見ても、
貴方のちぢれ毛でしょう」
一瞬、
店内の空気が凍る。
男爵の顔が、
みるみるうちに真っ赤になった。
「な、なにを――!」
「色も太さも、
見事に一致していますもの」
追撃が容赦ない。
私は思わずスコーンを口に運びながら、
心の中で拍手した。
(強い……)
ルイはにこやかに微笑み、
「お嬢様の観察眼は、
幼少の頃から確かでして」
さらっと火に油を注ぐ。