第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
対話
セナside
5日前
お嬢様とディランが2人で戻ってきた。
出かけてきたようだった。
その証拠に――お嬢様の左手の指には、見慣れない指輪がある。
アレキサンドライト。
夕暮れの残光を受けて、緑から紫へと静かに色を変える宝石。
……さぞ高価なものだろう。
俺がどれだけ剣を磨き、どれだけ功を立てようと、
決して贈れない種類のものだ。
そう思った瞬間、胸の奥に、ちくりとした痛みが走った。
だが――
お嬢様の表情を見て、言葉を失う。
どこか、すっきりしている。
迷いが晴れたような、肩の力が抜けたような顔。
それがなぜか――
指輪よりも、ずっと俺の心を掻き乱した。
そして翌日――
お嬢様が高熱を出したと聞いた。
ユウリから事情を聞かされたとき、言葉を失った。
湖に飛び込み、共鳴を使ったこと。
マルクと、その令嬢を助けるためだったということ。
……正直に言えば、思った。
なぜ、あの男のためにそこまでしなければならないのか。
命を削るような力を使ってまで、守る価値があったのかと。
けれど、それを口にする資格が自分にないことも分かっていた。
お嬢様は、そういう人だからだ。
誰かが苦しんでいれば、迷わず手を伸ばす。
たとえ自分が壊れると分かっていても。
見舞いに行くべきか、しばらく迷った。
騎士として行くべきなのか、
それとも……感情が混ざりすぎている自分には、近づく資格がないのか。
悩んだ末、ようやく決心して部屋を訪ねた。
心配していたはずだった。
5日前
お嬢様とディランが2人で戻ってきた。
出かけてきたようだった。
その証拠に――お嬢様の左手の指には、見慣れない指輪がある。
アレキサンドライト。
夕暮れの残光を受けて、緑から紫へと静かに色を変える宝石。
……さぞ高価なものだろう。
俺がどれだけ剣を磨き、どれだけ功を立てようと、
決して贈れない種類のものだ。
そう思った瞬間、胸の奥に、ちくりとした痛みが走った。
だが――
お嬢様の表情を見て、言葉を失う。
どこか、すっきりしている。
迷いが晴れたような、肩の力が抜けたような顔。
それがなぜか――
指輪よりも、ずっと俺の心を掻き乱した。
そして翌日――
お嬢様が高熱を出したと聞いた。
ユウリから事情を聞かされたとき、言葉を失った。
湖に飛び込み、共鳴を使ったこと。
マルクと、その令嬢を助けるためだったということ。
……正直に言えば、思った。
なぜ、あの男のためにそこまでしなければならないのか。
命を削るような力を使ってまで、守る価値があったのかと。
けれど、それを口にする資格が自分にないことも分かっていた。
お嬢様は、そういう人だからだ。
誰かが苦しんでいれば、迷わず手を伸ばす。
たとえ自分が壊れると分かっていても。
見舞いに行くべきか、しばらく迷った。
騎士として行くべきなのか、
それとも……感情が混ざりすぎている自分には、近づく資格がないのか。
悩んだ末、ようやく決心して部屋を訪ねた。
心配していたはずだった。