言えない。言わない。

知った夕方

雫が黒瀬家に来た日、玲央はいつもより静かだった。


ソファに座っても、ボールを手に取らない。


雫「今日、庭出ないの?」


玲央は曖昧に肩をすくめた。


玲央「この前さ」



玲央「水たまりに、映ってたんだよ」


玲央「……蹴ったら、崩れて」


雫「月乃、見てた?」


玲央「見てた」


玲央「いま、だったのって」


庭の端に、まだ乾ききらない土が残っている。


雫「月乃、空好きだから」


雫「そのときの空は、そのときだけだよ」

玲央は黙る。

雫「ちゃんと見た?」


玲央「……見た」


雫「なら、覚えてるね」


それ以上、なにも言わない。


でも、その目は変わっている。


もしまた、壊れそうになったら。


今度は、自分が止める。


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