【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】

2-6 古き魔法

「ああ。ジャック・ロイドか。僕も、覚えているよ。ワーウィックとの契約を、リカルドと最後まで争っていた竜騎士候補生だった。そうか。あいつが、リカルドを逆恨みしていたのか……」

 風がさらりとした髪を揺らして、クライヴは何か考え込むようにして腕を組んだ。

 今は彼らが囚われている野営の場所から、かなり離れたところにまで歩いて移動した。

 余りに強い衝撃を受け、途切れ途切れこれまでの経緯を語るスイレンに、何度も相槌を打ちながら、クライヴは隣でゆっくり歩きながら彼女の手を引いた。

「ロイド……いいえ。あの卑劣な男。ジャック・ロイドが、リカルド様を罠に掛けたという事実は。きっと間違いないことだと思う」

 血塗れになっていたリカルドを見ていた、ロイドの嘲るような笑顔。

 あれを思い出すだけで、強い怒りが胸内からふつふつと湧いてくる。

 リカルドとワーウィックがどれだけ強かろうが、関係ない。彼らがこうして二度も捕らえられるのも仕方ない。

 敵側に彼らの行き先の情報を漏らされ、不意打ちの奇襲に対応出来なかったのは無理もないことだ。

「確かに、そうだね。何故か準備万端で放たれた、竜特攻の攻撃魔法。あれは、呪文の詠唱にも時間がかかるはずだ。それに、狙いすましたかのように、飛んでくる量も凄かった。僕たちがあの場所を通ることを、事前に奴らが知っていたと考えるのが自然だ」

 クライヴはスイレンが推理した通りだろうと頷き、ある日のことを思い返しながら話し出した。

「リカルドが最初にガヴェアに捕らえられたと聞いた時も、僕は何かがおかしいとは感じていたんだ。そうか。あいつが、裏切っていたのか……」

「最初……リカルド様が、捕まった時も……?」

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