【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 久しぶりに会うなり言い難そうに切り出したリカルドに向けて、人前に出る用の華やかなドレスを身につけたイジェマは、間髪を入れずに頷いた。

 それを望んだのはリカルドだが、イジェマの前ではどうにも複雑な気分になってしまう。

 リカルドはイジェマのことは、別に嫌いじゃない。彼女の外見は、素直に美しいと思う。ただ向こうがリカルドのことを、嫌いなだけだ。

 都会的で洗練されたものが好きなイジェマは、鍛え上げた体も竜騎士という職業についたことも。無骨で女の子に対して、気の利いたことひとつ言えない性格も気に入らなかったのだろう。

「お父様を、どうにか説得しなくちゃダメね」

 イジェマは、頑固な自分の父の事を思い出したのか渋い顔をした。

 パーマー家の当主であるイジェマの父は、リカルドの亡くなった父と親友だった。

 それが縁で、二人は婚約することになったのだ。もう結婚していてもおかしくない年齢での娘との婚約解消は、彼にとっては家への侮辱と取られかねない。

「……君の恋人も、それなりの地位にいる。彼と結婚すると言えば、お父さんもそれほど文句も言わないんじゃないか」

< 295 / 340 >

この作品をシェア

pagetop