【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 イジェマが、リカルドに向けて手を差し出した。リカルドの無事な姿を確かめたい物好きな国民達の騒めきが大きくなる。

(これも、仕事だ。英雄と呼ばれる竜騎士の)

「君とこうして並び立つのも、最後だと思うと何だか寂しくなるな」

 イジェマの手を取り、国民への無事の報告をするための大きなバルコニーへと進んだ。

 幼い頃から婚約者と言われ、ことある毎に二人で並び立ってきた。甘い感情は皆無なので別に未練がある訳ではない。だが、これで最後だと思うと、やはり何か感じるものがあった。

「そうかしら。きっとこの後に、貴方の可愛い人と会ったら私のことなんて一瞬で忘れてしまっているわ。そういうものだもの」

 突然リカルドが婚約解消を言い出した理由なんて、お見通しらしいイジェマは隣で微笑み、そうして前を向いた。

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