【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 待ちに待った、イジェマとの婚約解消の時まで、もうすぐだった。これさえ終わってしまえば、何の気兼ねなくスイレンに想いを告げることが出来る。

 そう思って、リカルドの心は浮き立っていた。

「あら。今日は、随分上機嫌じゃない。私の前で、リカルドがそんな表情をしているのを見るのは、初めてだわ」

 仕事の合間に城の庭園で待ち合わせて、イジェマと婚約解消のための相談をする。

 イジェマはリカルドとの婚約解消後、恋人であるジャック・ロイドと結婚するからと父親を説得して、それも上手く行っているようだ。

 婚約中に恋人を持つことは、この国の貴族には良くあることとは言え、デュマース家とロイド家は貴族としての格も歴史もそう変わらない。

 貴族としての打算もあるだろうが、父親としては愛する娘が好きな相手と結ばれることを選んだのかもしれない。

「……俺が、随分な人でなしに聞こえるようなこと言わないでくれよ」

 まかり間違って、スイレンに伝わったらどうしてくれるんだと思った。

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