【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 リカルドはその言葉を絞り出すだけで、精一杯だった。

 幼い頃から決められた婚約者もいて、十代はひたすら竜騎士になるために鍛錬をしてきた。そして竜騎士になり、以来ずっと多忙だったリカルドは恋愛ごとに対してはめっきり疎い。

 好意的な想いを向けたリカルドにこう言われたことで、今の状態では何の約束もあげることの出来ないスイレンがどう思うか。どう行動するかなんて、考えられなかった。

 ただただ、リカルドは自分の元から、今にも飛び立ってしまいそうな彼女を繋ぎ止めるものを必死で探した結果、出てきた言葉がこれしかなかった。


◇◆◇


 やっと、待ち構えていた手紙が来た。

イジェマの父親のパーマー家の当主から、ある程度の条件を提示されてはいるが、やっと二人の婚約解消に前向きな返事を貰えたのだ。

 リカルドは喜びに飛び上がりそうな気持ちを抑えながら感動していると、自室の扉を叩く音に気がついて顔を出したスイレンに夕食に呼ばれた。

 それに頷いてから夕食を取る前に了承の返事だけでも書いてしまおうと、リカルドは机へと向かった。

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