【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 抜け目のない妹は、ガヴェアへ二人が出立するのを見送りに来ていた。すっかり健康になっているクラリスは、恋仲の侍従アダムとの結婚を望んでいた。

 自分達の結婚式を終えたら、ちゃっかりした妹についても考えねばならないだろう。

 ただ一人の肉親であるクラリスが、それなりの身分を持つ貴族子息と結婚すれば、リカルドは当主の座を譲り平民となり、ただの竜騎士としてその後生きていく道もあった。

 人生は、ままならないものだ。

「わかっているよ。留守は頼んだ」

 リカルドと同じ燃えるような赤髪を揺らし、クラリスは頷いた。

 デュマース家の領地経営をほぼ任せっきりにしている負い目もあって、リカルドは優秀な妹のクラリスには弱かった。

 スイレンも妹から貴族としての淑女の作法を教育されているし、持つべきは頼りになる妹だ。イジェマと婚約している時は、「早く婚約解消しろ」と何度もせっつかれたものだった。

 大人しく辛抱強いスイレンはクラリスとも性格も合って気に入っている様子で、本当に良かったなとリカルドは思う。

「お土産も、よろしくね。買って来て欲しいものは、この紙に書いてあるから」

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