【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 国に連れ帰って来たのも、きっと両親を亡くしているというリカルドと同じ境遇にあった同情からだろう。きっと、平民のスイレンなど彼には遊び相手にもなり得ないに違いない。

 元より何の期待もしていなかったはずなのに、なんでこんなに胸が痛くなってしまうのだろう。

「スイレン。ここに居たのか」

 夕食の後。すぐに一人でどこかに出掛けていたリカルドが、スイレンの姿を探して厨房にまで入って来た。

 彼と親しげに話し掛けられたスイレンを見て、テレザは目を見張った。そして、自分が勘違いしている事に気がついたのか、バツの悪そうな表情になった。

 スイレンは洗い終わったお皿を、指示された通りに食器棚へと戻すと戸口のリカルドの元へと向かった。

「君は、俺の大事な客人なんだ。使用人のようなことは、別にしなくて良い。テレザ。すまないが、これ以降はこのスイレンには水仕事はさせないでくれ」

「かしこまりました」

 テレザは先ほどまでのくだけて話していた様子が嘘のように、雇い主であるリカルドに対しかしこまって答えた。

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