【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 出来るだけ早く取りに行こうと言い募るスイレンに、うーんとリカルドは腕組みをして考え込むようにした。

「しかし……この辺りで高山といえば、大抵ガヴェアの周辺だ。魔物も出て来る危険だ……そんな場所に、か弱い君を連れては行けない。もし、既存の薬があるなら買って手に入れた方が良いのではないか」

「……戦争が終わったばかりで、流通もどうなっているか。いつ、手に入るかもわかりません。今のクラリス様の様子から、治療をするなら早い方が良いのではないかと」

「まあ……少し待ってくれ。俺も国に帰ったばかりで、竜騎士としての雑務もある。また考えてみよう」

 リカルドは苦笑して、自然な手付きでスイレンの髪を撫でた。最後に栗色の長い髪の一束を掬うようにして、名残惜しそうに肩へと落とした。

「クラリスと、仲良くなったんだな」

「はい。とても、可愛らしい方ですね」

「……あいつは、気難しいところもあるがな。兄の欲目だと言ってくれても良いが、性格は悪くないと思う。これから、長い付き合いになるだろう。二人とも、仲良くしてくれると嬉しい」

「わかりました」

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