その恋、仕様外につき――鉄壁SEは御曹司の暴走を許さない

 景は、救世主を見るような瞳で、怜の両手を握りしめようとした。
 怜は慌ててその手を振り払い、景から距離を取る。

「いや……ちょっと……それ本気で言ってます? さすがに冗談ですよね? そもそも、手を握るなんてセクハラですから! いくらアメリカ帰りだからって……!」

「ああ、すまない! つい感情が昂ぶって。……ニッポン人はシャイっていうのは本当だったんだね。これからは気をつけるよ、真壁さん」

「…………そうしてください」

 怜は急いでその場を離れ、自分のデスクに逃げた。


(何よ……なんなのよ、あいつ……!)

 仕事は完璧、けれど日常はポンコツ。
 圧倒的な有能さで自分を黙らせたかと思えば、次の瞬間には「放っておけない隙」を晒してくる。

 怜は乱暴にキーボードを叩き始めた。
 画面に並ぶコードが、景の笑顔と重なって、全く頭に入ってこない。


 ――「絶対に折れない」と誓ったはずの鉄壁の理性が。
 景という名の規格外(仕様外)のバグによって、始動二日目にして、早くも音を立てて崩れ始めていた。
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