その恋、仕様外につき――鉄壁SEは御曹司の暴走を許さない
第1話:怜の内なる宣戦布告
その夜。新宿の片隅にあるバルのカウンターで、真壁怜は琥珀色の液体を喉に流し込んでいた。
「ぷはーっ……。最悪。計算外。人生最大のバグだわ」
「ちょっとー、怜。初っ端から飛ばしすぎだって。悪酔いしても送らないよ」
「だって、こんなの、飲まなきゃやってらんない!」
「西園寺課長に男に間違われたこと? でも仕方ないんじゃない? アメリカ帰りなんだし」
憎まれ口を叩きながらも、隣で楽しそうにナッツを齧っているのは、同期の理奈だ。
怜と同じ開発部に籍を置く彼女は、「愛想」を武器にプロジェクトを回すタイプで、社内の情報通。西園寺景の個人情報を教えてくれたのも理奈であり、怜にとっては唯一、システムの裏口を預けられる気安い相手だった。
「違う! そんなことは問題じゃないの! 問題はその後!」
「その後って?」
怜の脳裏に、昼間の情景がフラッシュバックする。