過つは彼の性、許すは我の心 肆
にこやかに笑う圭三郎さんに、ボーッとしていた自分が恥ずかしくなって、気分を変えようと周囲を見渡した。
相変わらず凄いな…。
病棟のフロアを出て外来があるフロアに来たけれど、
「まっすぐ行って右に行ってもらえば採血室に着きます」
「ありがとうございます」
「ハンカチ忘れてますよ!」
「お母さん次何処ー?」
「しっ!静かに!」
土師の根幹に関わる人物が亡くなったのに、医療者は働き続けているし、患者は来るし、世間は何も変わらないんだなあ。
医療者や患者にとって居心地良く造られているのだろう白を基盤にしたフロアは、新築でもないのに何処を見ても汚れ等一切なく、不穏さの欠片もない。久々に人の営みを見た気がした。
不意に、
「綴様、そう言えば海外に行かれるとか?」
唐突に絶賛お悩み中の話をされた。
「…はい突然決まっちゃって」
あははと私が苦笑いしたら「そうですか…」と目を細める。
どうしたんだろう。
深く考え込む様な仕草に足が止まる。
そして唐突も唐突な、
「綴様は四葉と私を非情だと思いますか?」
問いをしてきた。
「へ?」
間抜けが口から飛び出す私に、同じ様に足を止める圭三郎さんの目は真剣そのもので。
「言い方が悪かったですね。私達が、」
「圭三郎さん?」
「…」
言葉を一旦区切った圭三郎さんは、一度間を置いた口から、
「親戚であるカズミを見殺しにしている事です」