過つは彼の性、許すは我の心 肆
 

 間合いを詰めてくるるり様に1人戦々恐々としていれば、


「はいストップ。近付くな」


 私に背を向けながら目の前に立ちはだかる1人の男が現れた、て。


「鉄将君」

「おう」


 診察を終えた鉄将君が私とるり様の間に入ってくれて、直接対決は避けられた。ホッ。

 プチパニックだった私を置いて、


「いい加減よせよ」


 声しか分からないけれど、鉄将君の声もまた硬質で低く、周囲も空気を読んで静かになったのがより緊張感を漂わせていた。

 しかしそれでも負けないのがるり様。


「何よ邪魔しないで!私が用事があるのは其処の女なのよ!」

「…」
 

 堂々と自分の意見を主張するるり様に、鉄将君は何も答えない。

 鉄将君…?

 答えない鉄将君に何故だか不安になり掛けたが、


「俺みたいになりたいなら、好きにすればいい」


 鉄将君の言葉と、さっきのるり様のお母さんの言葉が繋がって不安も吹き飛ぶ。


『きっと貴方がオオミカと居るには、その2人は大きな障害となると考えて始末したんでしょう。あ、天ヶ衣の方は死んでいないか』


 静君の声がリフレインした。

 そうか圭三郎さんがるり様のお母さんを止めたのは、


「此処は公の場だ。何処でどう噂が流れるか分からないけどな」

「っ…!」


 その噂が誰に聞かれたら不味いのか。
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