過つは彼の性、許すは我の心 肆


 それよりも気になったのは、


“そんなの誰が信じるものですか!知っているんですからね!あの人は!”


 その言葉の続きってもしかして…。

 るり様のお母さんの言葉の意味に気付き掛けた瞬間ーーーるり様とバチリと目が合う。

 あ、不味いと直感で思った。


「アンタ!!」


 来ちゃうじゃん…!

 逃げるべきか戦う?べきなのか。(戦うって何だって話だけれど)

 でもどっちの選択を取っても良い方向に転ぶ事が想像付かない上に、


「あの子急にどうしたの?」

「怖っ」

「止めた方がいいんじゃない?」


 彼女は足を止める事はない。

 遠巻きに見つめていた周囲を気迫で慄かせながら、カツカツとヒールの音を立てて私に近付いてくる。

 ていうか、顔が怖過ぎる。

 大騒ぎしていた母親を置いて歩いて来るるり様は、それはもう恐ろしい般若の形相で、殴り合いになったら確実に負けそうな想像までさせて来るのに対し、椅子からやや腰を浮かしている間抜けなポーズで固まる私が、戦闘力2倍みたいな今のるり様をどうこうする事も出来る訳ないじゃん、と言い訳するしかなく大変無念です。(誰に向けての言い訳かは聞かないで)

 そもそも私に一体何の用事だ。

 最近心当たりになりそうな事が多くあり過ぎて見当も付かないのに。

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