隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません



(っ!!)

 ハッと目を覚ますと、天井が見える。

「!!セイラ!目が覚めたのか」

 声のする方へ顔を向けると、ダリオスが安堵したように微笑んでいる。

「ダリオス様、私……」

 セイラはゆっくりと体を起こすと、ダリオスが手で優しく背中を支えた。

「あのあと気を失ってしまったんだ。あんな光景を見せられて気が張り詰めていたんだろう。気分は大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。あんな大事な時にごめんなさい」
「気にしなくて良い。ああなってしまうのは仕方ないよ」

 ダリオスが優しく言うのと同時に、部屋のドアがノックされた。

「はい」
「ガイズです」
「入って問題ない」

 ダリオスの返事にガイズが部屋の中に入ってくると、セイラの姿を見て目を輝かせた。

「お目覚めになられたのですか、よかった」
「ごめんなさい、ガイズ。心配をかけてしまったわ」

 ガイズがダリオスの隣に立つと、ダリオスが近くの椅子を見て座るように促す。ガイズは小さくお辞儀をして、椅子に座った。

「セイラ様、この度のことについて謝らなければならないことがあります」
「?」

(謝らなければいけないこと?)

 一体何のことだろうか。セイラが首をかしげてガイズを見つめると、ガイズはダリオスをチラリと見てからセイラをじっと見つめる。

「今回、第一王子が謀反を起こすことは、セイラ様以外は皆知っていたことなのです。そのせいで、セイラ様を驚かせてしまい、セイラ様は気を失ってしまうことに……」

 そういえば、あの時自分以外は皆ああなることを知っているかのような行動をとっていた。セイラが目を大きく見開くと、ダリオスが口を開く。

「すまない、セイラ。伝えるべきだと思ったんだが」
「ハロルド卿は悪くありません。セイラ様に伝えるなと言ったのは自分です。ハロルド卿はセイラ様にも情報を共有するべきだと言っていたのですが、自分がそれを止めたのですから。セイラ様、どうかハロルド卿を悪く思わないでください」

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