隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません

53 騎士団長と第一王子

「ハロルド卿は悪くありません。セイラ様に伝えるなと言ったのは自分です。ハロルド卿はセイラ様にも情報を共有するべきだと言っていたのですが、自分がそれを止めたのですから。セイラ様、どうかハロルド卿を悪く思わないでください」

 ガイズが神妙な面持ちでそう言うと、隣にいるダリオスは小さく首を振った。

「ガイズだけが悪いわけじゃない。俺だってガイズの提案に乗ったんだ」
「ですが、ハロルド卿は最後まで渋っていらっしゃった」
「それは……」
「あ、あの」

 ガイズとダリオスのやり取りを眺めていたセイラが思わず口を開くと、二人は同時にセイラの顔を見た。

(お二人でそんな顔をしなくても)

 二人とも、申し訳なさそうな困ったような不安そうな、複雑な顔をしてセイラをじっと見つめている。そんな二人の顔を見て、セイラは思わず小さくクスリと笑う。

「ごめんなさい、笑うべきところではないと思うのですが、お二人があまりにも必死だからつい。あの、話がよく見えないので、できればわかるように説明してもらえますか?」

(あの時、私だけが知らなかったのには何か理由がありそうだもの)

 セイラが優しく二人に言うと、二人はお互いに目を合わせてから小さく苦笑する。そして、ガイズが話を始めた。

「わかりました。自分からお話させていただきます。あれは、セイラ様がハロルド卿と二人きりで瘴気の強い土地を浄化しに行った日のことです」


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