隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
ユリアは微笑んでいるが、その微笑みにはまるで毒があるかのようでセイラの心を蝕んでいく。
「アルバート殿下にはすでにこのことはお伝えしてあります。王城内の主力の貴族たちはみなこの案に賛成ですので、あとはアルバート殿下のご意思のみ。ですが、アルバート殿下は頑なに拒否するのです。セイラ様とハロルド卿の仲は固いものだ、自分が国のためだけに割り込んでいいものではないと。全く、アルバート殿下は優しすぎるところがネックですな」
グレイブスはそうつまらなそうに吐き捨てた。
(アルバート殿下は、私とダリオス様のことを思ってくださっているのね)
アルバートの思いに、セイラの胸は少しだけ救われる思いだ。
「恐らく、ハロルド卿もアルバート殿下が拒否し続ける限りこの案をのまないでしょう。そうなると、最後の望みはセイラ様、あなただけだ。あなたがハロルド卿と離婚しアルバート殿下の元へいくと言ってくだされば、全てが丸くおさまる。なので、あなたにはハロルド卿と離婚していただきたい。それがレインダムのためです」
グレイブスは感情のこもらない瞳でセイラをじっと見つめた。どこまでも深い海底のような冷たいその瞳はセイラの心をどんどん冷やし重くしていく。
「セイラ様、失礼します」
コンコン、とドアがノックされ、執事長が応接室に入って来た。
「お話の最中に申し訳ありません。クレア様よりセイラ様に聖女として急ぎの用件があるとの連絡が入りました。支度をしてすぐに王城へ向かう必要がありますので、申し訳ありませんが本日はここでお引き取りを」
そう言って執事長がうやうやしくユリアたちにお辞儀をすると、グレイブスは興味のない顔で視線をそらした。
「まあ、せっかくこうしてお会いできたのに、残念だけどお忙しいのであれば仕方ありませんわ。行きましょうか」
「そうですな。セイラ様、またお訪ねしますので、本日の件、よくお考えください」
ユリアとグレイブスは立ちあがりドアへ向かって歩き出した。ふと、ユリアがセイラのすぐそばで立ち止まる。セイラが不安げにユリアを見つめると、ユリアは今までの笑顔を無くして真顔になり、セイラの耳元でそっと囁いた。
「私、ずっとダリオス様のことをお慕いしていました。ダリオス様と結婚するのは私だと思っていましたし、結婚できなくてもダリオス様がずっとお一人であるならそれでも構わないと思っていたんです。でも、隣国から来たさえない聖女なんかに最愛の人を取られるなんて絶対に認められませんわ」
セイラから体を離すと、ユリアはまた大輪の花が咲くかのような笑顔をセイラに向けた。
「それではセイラ様、ごきげんよう」
「アルバート殿下にはすでにこのことはお伝えしてあります。王城内の主力の貴族たちはみなこの案に賛成ですので、あとはアルバート殿下のご意思のみ。ですが、アルバート殿下は頑なに拒否するのです。セイラ様とハロルド卿の仲は固いものだ、自分が国のためだけに割り込んでいいものではないと。全く、アルバート殿下は優しすぎるところがネックですな」
グレイブスはそうつまらなそうに吐き捨てた。
(アルバート殿下は、私とダリオス様のことを思ってくださっているのね)
アルバートの思いに、セイラの胸は少しだけ救われる思いだ。
「恐らく、ハロルド卿もアルバート殿下が拒否し続ける限りこの案をのまないでしょう。そうなると、最後の望みはセイラ様、あなただけだ。あなたがハロルド卿と離婚しアルバート殿下の元へいくと言ってくだされば、全てが丸くおさまる。なので、あなたにはハロルド卿と離婚していただきたい。それがレインダムのためです」
グレイブスは感情のこもらない瞳でセイラをじっと見つめた。どこまでも深い海底のような冷たいその瞳はセイラの心をどんどん冷やし重くしていく。
「セイラ様、失礼します」
コンコン、とドアがノックされ、執事長が応接室に入って来た。
「お話の最中に申し訳ありません。クレア様よりセイラ様に聖女として急ぎの用件があるとの連絡が入りました。支度をしてすぐに王城へ向かう必要がありますので、申し訳ありませんが本日はここでお引き取りを」
そう言って執事長がうやうやしくユリアたちにお辞儀をすると、グレイブスは興味のない顔で視線をそらした。
「まあ、せっかくこうしてお会いできたのに、残念だけどお忙しいのであれば仕方ありませんわ。行きましょうか」
「そうですな。セイラ様、またお訪ねしますので、本日の件、よくお考えください」
ユリアとグレイブスは立ちあがりドアへ向かって歩き出した。ふと、ユリアがセイラのすぐそばで立ち止まる。セイラが不安げにユリアを見つめると、ユリアは今までの笑顔を無くして真顔になり、セイラの耳元でそっと囁いた。
「私、ずっとダリオス様のことをお慕いしていました。ダリオス様と結婚するのは私だと思っていましたし、結婚できなくてもダリオス様がずっとお一人であるならそれでも構わないと思っていたんです。でも、隣国から来たさえない聖女なんかに最愛の人を取られるなんて絶対に認められませんわ」
セイラから体を離すと、ユリアはまた大輪の花が咲くかのような笑顔をセイラに向けた。
「それではセイラ様、ごきげんよう」