隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
*
(はあ、とっても気持ちよかった)
セイラが泣き止んだその後、バラが浮かんだお湯に入らせられ、上がったあとは良い香りのする香油でマッサージされ、心も体もすっかりほぐされてしまった。
食事ができたら呼ぶからそれまで部屋でゆっくりくつろぐようにと言われ、セイラは部屋に戻ってソファに座りながら窓の外を眺める。青空が広がり、窓からは爽やかな風がそよそよと入り込んできた。さっきまでユリアとグレイブスが来ていたことがまるで嘘のように、穏やかで落ち着いている。
部屋に飾られたサンキャッチャーが陽の光に照らされてキラキラと輝いている。部屋の中に小さな虹がいくつもできていて、セイラはそれを眺めながらほうっと小さく息を吐いた。
「セイラ!セイラ!」
突然、ばたばたと足音が聞こえてきて、セイラの部屋のドアがバン!と音をたてて開いた。セイラが驚いて扉を見ると、息を切らしたダリオスがものすごい形相で仁王立ちしている。
「えっ、ダリオス様!?」
「セイラ!大丈夫なのか!?セイラに緊急事態だと執事長から連絡が入って、急いで帰って来たんだが……」
ソファに座るセイラの足元にひざまずき、ダリオスはそっとセイラの手を取る。ダリオスの顔は心配だと言わんばかりの顔だ。
「あの、えっと……」
「ダリオス様、急にセイラ様の部屋に入るのはおやめください。セイラ様が驚いておられます」
「だが……!」
「だがもクソもありません。とにかくセイラ様はようやく落ち着いたばかりなのですから、少しそっとしておいてください。何があったかは私どもから説明しますから、ほら」
執事長がそう言ってダリオスの脇を抱えるようにしてダリオスを立ち上がらせると、そのままずるずるとドアまで引きずっていく。
(執事長、あのダリオス様をあんな風に引きずっていけるなんて、すごいわ……!)
ダリオスは唖然として言われるがまま、なすがままだ。ポカンとするセイラをよそに執事長がダリオスと共に部屋から出て行くと、メイド長が入ってきてフフッと笑う。
「全く、ダリオス様はセイラ様のことになるとどうしようもありませんね。ダリオス様とは夜にでもゆっくりお話ししてくださいまし。それまでまだ時間がありますから、のんびりしていてくださいね」
優しく微笑んでメイド長はお辞儀をすると、部屋から静かに出て行った。
(はあ、とっても気持ちよかった)
セイラが泣き止んだその後、バラが浮かんだお湯に入らせられ、上がったあとは良い香りのする香油でマッサージされ、心も体もすっかりほぐされてしまった。
食事ができたら呼ぶからそれまで部屋でゆっくりくつろぐようにと言われ、セイラは部屋に戻ってソファに座りながら窓の外を眺める。青空が広がり、窓からは爽やかな風がそよそよと入り込んできた。さっきまでユリアとグレイブスが来ていたことがまるで嘘のように、穏やかで落ち着いている。
部屋に飾られたサンキャッチャーが陽の光に照らされてキラキラと輝いている。部屋の中に小さな虹がいくつもできていて、セイラはそれを眺めながらほうっと小さく息を吐いた。
「セイラ!セイラ!」
突然、ばたばたと足音が聞こえてきて、セイラの部屋のドアがバン!と音をたてて開いた。セイラが驚いて扉を見ると、息を切らしたダリオスがものすごい形相で仁王立ちしている。
「えっ、ダリオス様!?」
「セイラ!大丈夫なのか!?セイラに緊急事態だと執事長から連絡が入って、急いで帰って来たんだが……」
ソファに座るセイラの足元にひざまずき、ダリオスはそっとセイラの手を取る。ダリオスの顔は心配だと言わんばかりの顔だ。
「あの、えっと……」
「ダリオス様、急にセイラ様の部屋に入るのはおやめください。セイラ様が驚いておられます」
「だが……!」
「だがもクソもありません。とにかくセイラ様はようやく落ち着いたばかりなのですから、少しそっとしておいてください。何があったかは私どもから説明しますから、ほら」
執事長がそう言ってダリオスの脇を抱えるようにしてダリオスを立ち上がらせると、そのままずるずるとドアまで引きずっていく。
(執事長、あのダリオス様をあんな風に引きずっていけるなんて、すごいわ……!)
ダリオスは唖然として言われるがまま、なすがままだ。ポカンとするセイラをよそに執事長がダリオスと共に部屋から出て行くと、メイド長が入ってきてフフッと笑う。
「全く、ダリオス様はセイラ様のことになるとどうしようもありませんね。ダリオス様とは夜にでもゆっくりお話ししてくださいまし。それまでまだ時間がありますから、のんびりしていてくださいね」
優しく微笑んでメイド長はお辞儀をすると、部屋から静かに出て行った。