隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
「ハロルド卿……たしか、レインダムの黒騎士のお名前では?ここは小さい街ですが、これでも牧師、隣国のことについても情報はそれなりに入ってきます。確か聖女様はレインダムで黒騎士と結婚したと噂で聞いておりましたが、そうでしたか……聖女様はこんな素晴らしい方と結婚なさったのですね。それなら安心だ」
(えっ、結婚したことも噂になっていたの?)
セイラが動揺しつつも少し照れると、牧師は微笑みながら話を続ける。
「ハロルド卿、そして魔術師の方、この度は本当にありがとうございました。ただの牧師である私がこんなことを言うのもおこがましいのですが、どうかこれからも聖女様のことをよろしく頼みます。聖女様は、ポリウスの国民にとってかけがえのない方です。今までもたくさんの街や村の人々が聖女様によって救われてきました。どこにいようとも聖女様が幸せであることが、我々国民にとっても幸せなのです」
牧師の言葉を聞いて、セイラの瞳に薄っすらと涙がにじむ。こんなにも自分は国のひとたちに思われていたのだと感動のあまり心が震え、セイラはそっと瞳を閉じる。
「もちろんです。何があっても、レインダムの黒騎士の名にかけてセイラを守り幸せにします」
ダリオスはそう言って力強く頷いた。それを見て牧師様は、嬉しそうに微笑み、セイラへ視線を向けた。
「聖女様、本当にありがとうございました。この街は聖女様のおかげでもう大丈夫です。恐らく聖女様たちはポリウス内を巡ってらっしゃるのでしょう?きっとこの街だけを浄化しに来たわけではありませんよね。ここのことは気にせず、どうか先を急いでください」
「えっ、でも、まだ街の人たちの中にも治癒魔法が必要な人がいるかもしれません」
セイラが戸惑い気味にそう言うと、ダリオスとクレアも頷く。だが、牧師は優しく微笑みながら首を振った。
「私も治癒魔法を使えます。聖女様たちのおかげで、魔力まで回復しました。だから何とかなります。聖女様たちにばかり甘えているわけにもいきません。自分たちのことは、自分たちで何とかするのが筋でしょう」
(でも、牧師様だって瘴気から解放されたばかりなのに……お一人では街の人たち全てを見ることなんて不可能だわ)
牧師の有無を言わさない真剣な眼差しに、セイラは返答に困っている。その時、クレアが口を開いた。
「そうであれば、俺がここに残りましょう。最低限必要な人たちに治癒魔法をかけたら、すぐにダリオス様たちを追いかけます」
「ああ、そうしてくれると助かる」
ダリオスが頷いてそう言うと、牧師は目を見開いてクレアを見つめ、慌てた。
「そんな!お見受けしたところ、あなた様は相当な魔力の持ち主、レインダムでも凄腕の魔術師なのでしょう?そんな方に甘えるなど……」
「いいんですよ。俺はダリオス様とセイラ様のために、ここに残ると言っているんです。だからあなたが気にする必要はありません。それに、残らずに立ち去ったら後々ダリオス様に怒られてしまいます。俺を助けるためだと思って、ね?」
牧師が困ってしまわぬように、クレアはあえてそんな言い方をしたことに気付き、ダリオスは小さく口の端を上げる。
「なんと……!本当に、どうお礼を言っていいか……」
瞳を潤ませながらそう言う牧師を見て、セイラとダリオスは目を合わせ、静かに微笑んだ。
(えっ、結婚したことも噂になっていたの?)
セイラが動揺しつつも少し照れると、牧師は微笑みながら話を続ける。
「ハロルド卿、そして魔術師の方、この度は本当にありがとうございました。ただの牧師である私がこんなことを言うのもおこがましいのですが、どうかこれからも聖女様のことをよろしく頼みます。聖女様は、ポリウスの国民にとってかけがえのない方です。今までもたくさんの街や村の人々が聖女様によって救われてきました。どこにいようとも聖女様が幸せであることが、我々国民にとっても幸せなのです」
牧師の言葉を聞いて、セイラの瞳に薄っすらと涙がにじむ。こんなにも自分は国のひとたちに思われていたのだと感動のあまり心が震え、セイラはそっと瞳を閉じる。
「もちろんです。何があっても、レインダムの黒騎士の名にかけてセイラを守り幸せにします」
ダリオスはそう言って力強く頷いた。それを見て牧師様は、嬉しそうに微笑み、セイラへ視線を向けた。
「聖女様、本当にありがとうございました。この街は聖女様のおかげでもう大丈夫です。恐らく聖女様たちはポリウス内を巡ってらっしゃるのでしょう?きっとこの街だけを浄化しに来たわけではありませんよね。ここのことは気にせず、どうか先を急いでください」
「えっ、でも、まだ街の人たちの中にも治癒魔法が必要な人がいるかもしれません」
セイラが戸惑い気味にそう言うと、ダリオスとクレアも頷く。だが、牧師は優しく微笑みながら首を振った。
「私も治癒魔法を使えます。聖女様たちのおかげで、魔力まで回復しました。だから何とかなります。聖女様たちにばかり甘えているわけにもいきません。自分たちのことは、自分たちで何とかするのが筋でしょう」
(でも、牧師様だって瘴気から解放されたばかりなのに……お一人では街の人たち全てを見ることなんて不可能だわ)
牧師の有無を言わさない真剣な眼差しに、セイラは返答に困っている。その時、クレアが口を開いた。
「そうであれば、俺がここに残りましょう。最低限必要な人たちに治癒魔法をかけたら、すぐにダリオス様たちを追いかけます」
「ああ、そうしてくれると助かる」
ダリオスが頷いてそう言うと、牧師は目を見開いてクレアを見つめ、慌てた。
「そんな!お見受けしたところ、あなた様は相当な魔力の持ち主、レインダムでも凄腕の魔術師なのでしょう?そんな方に甘えるなど……」
「いいんですよ。俺はダリオス様とセイラ様のために、ここに残ると言っているんです。だからあなたが気にする必要はありません。それに、残らずに立ち去ったら後々ダリオス様に怒られてしまいます。俺を助けるためだと思って、ね?」
牧師が困ってしまわぬように、クレアはあえてそんな言い方をしたことに気付き、ダリオスは小さく口の端を上げる。
「なんと……!本当に、どうお礼を言っていいか……」
瞳を潤ませながらそう言う牧師を見て、セイラとダリオスは目を合わせ、静かに微笑んだ。