隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
「馬車の中でも言いましたが、私はダリオス様を嫌いになったりしません。確かにあの時は本当に怖くて仕方がなかった。でも、騎士としてのダリオス様のことは心から尊敬しています。ダリオス様のその強さがあるからこそ、レインダムはこうして守られているんです。だから、私はそんなダリオス様のことも好きなんです。信じてください」

 そう言って、セイラはほんの少し抱きしめる力を強くした。

「不安になるなら、何度だって言います。何度だって安心してもらえるように伝えます。私は、ダリオス様のことが大好きです。どんなダリオス様でも絶対に、離れたくありません」

 セイラの言葉に、ダリオスのセイラを抱きしめる力が強くなる。セイラはダリオスの背中を優しく擦ると、体をそっと離した。

(そうだわ……!)

 セイラはベッドに転がり落ちていた指輪に気づき、それを掴んでダリオスへ差し出す。

「誤解をさせてしまって申し訳ありません。ダリオス様、もう一度、指輪をはめてくださいませんか」
「……セイラ」

 セイラの瞳は純粋な期待でキラキラと輝いている。そんなセイラを見てダリオスの瞳もまたキラキラと輝き、ダリオスはセイラから指輪を受け取ってセイラの左薬指にはめる。そして、指輪にそっとキスを落とした。

「セイラ、愛してるよ」
「私もです、ダリオス様」

 セイラは頬を赤らめながら微笑んだ。セイラのその言葉に、ダリオスは心の底から安堵した表情を見せる。それから、ダリオスはセイラに優しく口づけた。

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