隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません


「よくぞ無事に戻ってきた」
「はっ」

 レインダムへ帰ってきた翌日、セイラたちはレインダムの国王に謁見していた。

「セイラよ、さぞかし疲れたであろう。…ポリウスのことについては、このようなことになってしまい残念だ」
「そんな……!むしろ私の父が本当に取り返しのつかないことをしてしまい、申し訳ありません。どう申し開きをして良いものか……」

 ドレスをぎゅっと握りしめながら、セイラは深々とお辞儀をした。

「そなたが謝ることではない。こう言ってはなんだが、そなたの父も妹も、国を守る者として考えが足りぬようだ。そなたもさぞかし苦労したのであろうな」
「そんな、私は何も……」

(そう、私は何もしていないし、何もできていない。ただ、お父様たちの言う通り、影の聖女としていただけ)

 自分がもっと二人に言うべきことを言えていれば、王女としてできることをしていれば、ポリウスの未来は違っていたのかもしれない。今更になって悔しさが奥底から這い上がってくるようだ。

「セイラよ、そなたは聖女として誰よりもポリウスに尽くしてきたであろう。誰よりもポリウスという国を思い、行動してきた。そんなそなたからポリウスを奪うのは辛いものだ」

 小さくため息をつきながら、レインダムの国王は開いているのかわからないほどの細い目をセイラへ向ける。

「だが、そなたの父がしたことは見過ごすわけにはいかんのだ」
「はい、わかっています」
「そなたはもうレインダムの聖女だ。ポリウスがレインダムのものになれば、そなたもまたポリウスのために力を奮うことができる。今後のことについては、もろもろのことが落ち着いてから会議を開こう。その時は、そなたも、この国の聖女として会議に参加してもらう。よいな」
「はい……!」

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