隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません
「ルルゥ!落ち着いて!クレア様が驚いているわ」

 セイラが慌ててそう言うと、ルルゥはハッ!としてクレアの両手を離し、深々とお辞儀をする。

「大変申し訳ありません!ずっと憧れていたレインダムの魔術師殿にお会いできて興奮してしまいました」

 顔を上げると、やってしまった!というような顔をしている。

「憧れって、俺に?俺は敵国の人間ですよ?」
「そんなの、関係ありません!クレア殿は、レインダムで数々の古代魔法を解析し、現代で使えるように応用して新理論を立ち上げた偉大な方です。敵国だろうがなんだろうが、そんなもの魔術師には関係ありません!」

(確かに、ポリウスにいた頃、ルルゥからクレア様の話は何度か聞いたことがあった気がするけど、クレア様ってそんなにすごい方だったのね……!)

 驚いたようにセイラがクレアを見つめると、ダリオスはそっとセイラに耳打ちをする。

「クレアが作った俺専用の腕輪は、他の魔術師には作り出せないものなんだ。そもそも、理論上無理だと言われていた代物だ」
「そうなんですか……!すごい……!」

 セイラが驚いていると、クレアはルルゥを見てフッと微笑んだ。

「魔術師にとって、敵国かどうかなんて関係ない、か。君は、確か元ポリウスでは魔術師として抜きんでているそうですね。その若さで筆頭魔術師になり、国の中枢で働いていた。古代魔法の研究もしていたとか」
「はい!ですが、ポリウスではそんな研究必要ないと言われて、あまり自由にさせてもらえなかったんですよ」

 しょんもりとしながらルルゥが言うと、クレアはニッと口角を上げた。

「だったら、俺の研究チームの一員になるといい。君みたいな優秀な魔術師は大歓迎です」
「……えっ!?えええっ!?いいんですか?」

 ルルゥが悲鳴のような歓喜の声を上げると、クレアはクスクスと笑って頷いた。それから、セイラたちへ視線を向ける。

「さて、ダリオス様たちを呼び出してわざわざ来てもらったのに、蚊帳の外にするのはいけませんね。そろそろ本題に入りましょう」

< 78 / 120 >

この作品をシェア

pagetop